女の意地とカーネーション

最近、放置しまくりのこのブログですが……
多忙なため、夏ぐらいまではゆっくりペースで行くと思います。すみません。

昨日は震災1周年でした。いろいろ思うところはツイッターFacebookで吐き出したので、ここでは日常の話を。

NHK朝ドラ「カーネーション」にハマりまくっています。

朝ドラなんてほとんどまともに見たことがなく、2年前の「ゲゲゲの女房」で初めてきちんと見たくらい、朝ドラとは縁がなく生きてきました。(ちなみに「ゲゲゲ…」は、イラストレーターや漫画家の友人たちもみんな見ていて、「共感ポイントが多すぎて、痛い!」「泣ける!」と叫ぶことしきり)

コシノ三姉妹のお母さんの話である今回の「カーネーション」も、「三姉妹」やら「物づくり系の仕事」やら「自営業」やら、自分たちとの共通点がやたらと多い。で見始めたわけですが、まさかこんなにのめり込むとは……。

何がいいって、このドラマは「いわゆるNHK朝ドラ」という枠から、逸脱しまくってるんですよ。人間のダークな部分も、きっちり逃げずに描いている。もう泣かされまくりです。

ヒロインは明るくて元気だけど、決してステレオタイプではない。説明的なセリフも少ないし、暗示で見せる場面も多い。

今までの朝ドラを見てないのでわかりませんが、ヒロインが不倫したり、親友が売春婦になってしまったり、戦争から戻ってきた幼なじみが精神を病んだり、仲のよかった近所のおばちゃんにものすごい形相で絶縁宣言されたり…というハードなエピソードの数々は、朝ドラ史上でも類を見ないのではないかしら。

ヒロインの尾野真千子もいい女優さんですが、髪結いのおばちゃん役の濱田マリ。本当に凄みを感じさせる女優さんになったな〜と。

忘れられない、糸子とおばちゃんがが絶縁するシーン。
雨が降りしきる中、据わった目の濱田マリがズルーッと糸子の家にやってきて、心のドロドロを思い切りぶちまけて、帰っていく。ふだんは底抜けに明るい彼女が全身から暗黒オーラを漂わせている様には、ひたすらゾッとしました(そして痛く、哀しかった)。あんなに脳天気な、コミックバンドの、モダンチョキチョキズだったのに!

個人的には、栗山千明扮する奈津が大好きでした。

これがまたイヤな女の役で(笑)、幼い頃から料亭のおかみになるべく英才教育を受けていて、常に高そうなもの着ていて、美人で、「私は特別」オーラをぷんぷん振りまいている、周囲からは浮いている役なんです。糸子と顔を会わせると憎まれ口ばかり。が、糸子は(視聴者も)彼女を完全に嫌うことはできない。

なぜならこんな美貌を持ち、いい家に生まれていながら、彼女はまったく恵まれていない。

好きな人とは結ばれず、しぶしぶ結婚した夫は芸妓と逃げるし、戦争の影響で料亭は傾いて、ついには夜逃げして泥棒やパンパンにまで身を落とす…。これでもか!というくらい女の不条理を引き受けている奈津。しかも髪結いのおばちゃん以外には、涙を見せない。強そうに見せているけど、本当は弱虫で頼る友達もいない女。そんな自意識のワクに閉じ込められた女、奈津。そんな彼女がいじらしくて、「みんなは嫌いでもあたしだけは応援するっ!」と思って観てました。

まぁこんなドラマだから、椎名林檎の主題歌がハマるハマる。
(紅白の椎名林檎も最高によかった!)
朝からこんなドラマを放映してくれるNHKにエールを送りたいです。

映画評論家の町山智浩氏はカーネーションを「朝ドラ史上の最高傑作」とまで言ってますね〜。
→町山智浩氏のNHK朝ドラカーネーション関連ツイート

こちらはポッドキャスト
→TBSラジオ キラキラ「カーネーション」の魅力について

こちらもぜひ。
→安彦真理絵「派手さはなくても流れる涙に「体温」を感じさせる、尾野真千子の演技」

ヒロインが夏木マリに交代して、物語も終盤になってから言うことでもないけど、カーネーションは好きな仕事で身を立てている女性、将来身を立てたい女性、そんな女性にぜひ観てほしいドラマです。

女の意地とゆらぎ、好きなことを仕事にしていこうという人間の覚悟と厳しさ、理想と現実、戦争もひっくるめた人と人とのぶつかり合い、そんなあれこれがリアルすぎて。震災以降だからこそ、そんな泥臭さが染みるんだと思う。しかもタフなだけじゃなく、女の子ならではのオシャレしてうれしい気持ち、キラキラした感じも楽しめる。

先日BSで「天然コケッコー」を観たとき、なんとなくプンと匂うものを感じました。で、最後のクレジットを確認してみたら……やっぱり!「脚本:渡辺あや」。そう、カーネーションと同じ人です。ちなみに「メゾン・ド・ヒミコ」も「火の魚」もこの人だそうで。あ〜、やられまくってるな、わたし。
しかも同い年だ。どうしよう。

→カーネーション対談 尾野真千子×渡辺あや

→志事人 脚本家 渡辺あや


おまけ。直子(コシノジュンコ)役の女優さんが好き。この人女子プロレスラーだそうな。ぶっきらぼうさがハマっていると思う。

とりとめない感想で失礼。


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